ブラッキーがうちへ来て十日ほど経ちます。初日は「遊びに来た」と思っていたのか、車にも飛び乗り、家についてからもはしゃいでいました。ですが、夜になると緊張が高まって「僕、家に帰らなくちゃ」といった態度。初日の夜は、「ハウス」でマットに寝かしつけました。我が家へ来て一週間は夜になると、なんとなくソワソワしながら過ごしました。
1週間ほど経って、ユーザーさんが新しい盲導犬との共同訓練の合間にお会いして、ブラッキーが8年間、どんな生活だったのかを詳しくお聞きしました。
ブラッキーがいた家は、お父さんとお母さん二人で盲導犬を使うタンデムでした。平日はお父さんと一緒に出勤し、そこでもたくさんの人に可愛がられて、毎日リンゴをもらっていたそうです。ブラッキーにはアレルギーが少しあり、何でも食べられるわけではないので、リンゴと決めてくれていたのでしょう。そして、夜、寝る前にトマトを一個食べていたことも聞きました。
盲導犬協会で話を聞いている間ずっと、ブラッキーはユーザーさんの足元に”盲導犬の顔”をしてリラックスして横になっていました。
お母さんは地域の小学校全てで盲導犬の啓蒙活動をしていて、啓蒙の日はブラッキーも小学校へ行っていました。小学生はブラッキーが来るのを楽しみにしてくれて、何かお礼がしたいと言われ、お母さんは児童達にリコーダーで演奏してくれるようお願いしたそうです。
実は、パピーの頃、息子が吹くリコーダーやピアニカに合わせてブラッキーが歌うのを私がユーザーさんに話していたからです。啓蒙活動でも、リコーダーの演奏に合わせてブラッキーが遠慮がちに歌うので、児童達は「ブラッキーが歌った!」大喜びしてくれたそうです^ ^。
ユーザーさんはブラッキーで3頭目の盲導犬でした。その子を知るために、パピーウォーカーと連絡をとって、どんな性格か、何が好きかなど聞いて、少しでも早くその子を知ろうとしてくれていたことが分かりました。ブラッキーは寒がりで冬はコタツに入っていたと私が言ったので、ブラッキーのためにコタツまで買ってくれたそうです。
ユーザーさんと話した日の夜、ブラッキーが私を前脚でチョンとさわり、何かを待つ。チョンとさわり、何かを待つ。と繰り返していたのですが、「あぁ!トマトね!」とようやくわかって、トマトをゲット。その晩からはブラッキーも大満足で眠れるようになりました。
これまでオデットとジュリは、寝る前の夜食はヨーグルトでしたが、今ではみんなでトマトを食べてから歯磨きです(^^)。
ユーザーさんから何度も、苗字が変わることを話してもらって納得できたのか、帰り際に私がリードを受け取ると、ブラッキーは振り返ることもなく、私の横を歩いてくれたので、私の不安が一気に安心に変わりました。
繁殖ボランティアから預かった小さなブラッキーを、パピーウォーカーとして一生懸命に一歳まで育て、盲導犬に選ばれて、ユーザーさんの目として8年間過ごし、沢山の人と関わりました。そしてまた、ブラッキーのリードを託されました。
もう二度と、このリードを放すことなく、3匹のワンコ達の最終章を共に過ごせる幸せを満喫したいと思います。
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